04 1.5Lの3気筒エンジンとは思えないほど静かでパワフルなエンジン
今回試乗した新型1シリーズ118i M Sportは、皆さんもご存じの通り、本物のMではないものの、サスペンション、ホイール&タイヤ、エクステリア&インテリアなどを通常モデルよりスポーティーに仕上げた118iラインアップの中では最上位のモデル。パワートレインは、StandardやPlayにも搭載されている1.5L直列3気筒DOHC+ツインターボで、最高出力140PS(103kW)/4,200-6,500 rpm、最大トルク220Nm/1,480-4,200rpmという標準的なスペック。初代1シリーズには3Lも搭載されていたので、試乗する前は「1.5Lでは物足りないのでは?」と思っていましたが、新型1シリーズは、その不安を良い意味で大きく裏切ってくれました。
まず、3気筒と聞いて心配されるのは振動や騒音。ところが、実際に走ってみると、実にスムーズで静かなエンジンであることに驚かされます。おそらく3気筒という事前情報を知らされないまま乗ってしまうと、誰もが3気筒だと気づかないレベルまで振動や騒音は低く抑えられています。
もちろん、このパワートレインはスムーズ&サイレントだけではなく、ツインターボが装着されているお蔭でレスポンスの良さと力強さが両立しているところも魅力。嵐山高雄パークウェイのような上り坂やカーブが連続するワインディングロードでも、1.5Lエンジンとは思えない小気味良い加速感と太いトルク感を味わうことが可能です。
05 アンダーステアを見事に抑え込んだRWD的なドライブフィールを実現
新型1シリーズのサスペンションは、すべてのモデルでフロントにストラット式、リアに5リンクのマルチリンク式が採用されており、試乗したM Sportは少し硬めのスポーツ指向のチューニングが施されています。とりわけ、リアのマルチリンク式はロードノイズを低減しやすい構造なので、高級車に多用されている贅沢な形式。このお蔭でM Sportといえどもゴツゴツ感が適度に抑えられた落ち着きのある乗り心地となっているうえ、静粛性も2代目と比べると飛躍的に向上。クルマの姿勢制御も素晴らしく、BMWらしい正確で無駄のないハンドリングを味わうことができます。
また、新型1シリーズは、BMWとして日本初導入となるタイヤスリップコントロールシステム(ARB)を採用。これはダイナミックスタビリティコントロール(DSC)を経由することなく、エンジンコントロールユニットが従来の3倍の速さでスリップ状況を検知し、FWDのウィークポイントであるアンダーステアを自動制御するというスグレモノ。実際、嵐山高雄パークウェイのようなワインディングロードを比較的速いスピードで走っていても、まるでRWDのような自然なコーナリングワークができるので、やはりARB導入の成果は十分あったといえるでしょう。