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This is the Kyoto way Vol.01 「京提灯 小嶋商店」

京都を訪れる外国人に向けて英語で京都の情報を紹介するフリーペーパー「ENJOY KYOTO」とのコラボレーションで、新コーナー「This is the Kyoto way」がスタートします。伝統工芸や食などの個性豊かな京都の文化から、その継承・発展・創造に携わる人まで、通常の観光情報誌とは一味違った、京都の深い魅力を発信します。

 

小嶋商店の歴史:200年間、絶やさず灯されてきた炎。
京提灯の老舗・小嶋商店の歴史は、いまからおよそ200年以上前、西暦1800年前後にまでさかのぼる。しかもあくまでそれは、代々伝えられてきた最古の記録がそのころのものであるということであって、実際にはさらに古くから営まれていたのではないかと考えられている。お寺や神社、あるいは侍や商家の屋敷などで長きにわたって灯り続けてきたであろう小嶋商店の提灯。聖火リレーのように受け継がれてきた小さな炎の若き継承者ふたりに話を聞いてみた。

 

Shun

Shun Kojima – 小嶋 俊
1984年生まれ。提灯づくりの中でもおもに「竹割り」とよばれるパートを担当。まっすぐで頑固な職人気質。妻と娘、息子ふたりの5人家族。

Ryo

Ryo Kojima – 小嶋 諒
1989年生まれ。提灯づくりの中でもおもに「紙張り」とよばれるパートを担当。若さゆえの柔軟な感性とすこし引いた視点の持ち主で、小嶋家のバランサー的存在。妻とひとりの息子の3人家族。

 

小嶋商店がつくる京提:灯武骨で丈夫。
彼らのつくる提灯には、彼ら自身の生き方が投影されている。
小嶋商店がつくりだす京提灯の最大の特徴は、まず「地張り式」と呼ばれるその独特の製法があげられる。地張り式というのは、まず製造過程や使用する素材がそもそも他の提灯とは異なっている。現在、主流になっている「巻骨式」とよばれる手法は、骨組が一本の竹をらせん状に巻いてつくられているため、比較的かんたんに綺麗に仕上げられるとされる。短時間でより多くの製品を求められる現代に多用されている提灯の形だ。
これに対し、小嶋商店が受け継いできた「地張り式」では、まず骨組となる竹や、外側に張る紙は、いずれもかなり厚めのものが使われている。また骨組は何本もの竹をひとつひとつ輪状にして組み上げていき、それを最後に糸で一本ずつ固定していく。そのためにひとつの提灯を完成させるのにとてつもなく手間や時間がかかるのだ。結果的に「武骨」で「丈夫」な提灯に仕上がる。強度がしっかりしているという機能的な面だけでなく、目にした瞬間の存在感、木や紙の風合いや素材感がくっきりとしていて、比較にならないほど強い印象を残す。しかしいまではこうした地張り式で提灯を製造する拠点は、京都でも小嶋商店含めて2,3か所しか残っていないのだという。若きふたりの職人たちは、あらためて伝統の持つ重みを感じながら、同時にいまのライフスタイルに合った新しい提灯のかたちを模索しているという。
 

京提灯

 
 
●京提灯の作り方

 

Bamboo-splitting

①竹割り
提灯の骨格を作る工程。竹の肌を見て水分やしなやかさなど最適な竹を選びます。長い一本の竹を、作る提灯の大きさに合わせて割り、さらにナタで一本一本細かく割っていきます。ここは俊がメインに請け負うパートです。

String-hanging

②糸吊り
できた骨を木型にはめ込み、麻糸で一本一本固定して強度を高める作業。この工程が入ることで丈夫な提灯に仕上がります。

 

Paper-gluing

③ 紙張り
霧吹きで湿らせた和紙を糊付けし、骨格に張りつけていく工程。ここは諒がおもに担当しています。地張り提灯は通常よりも厚い和紙を張れるのが特徴なので、いい風合いを出すうえで、紙張りは非常に重要な作業となります。

Decoration

④ 絵付け
お店のロゴマークやお寺の名前、図柄など、文字や絵を描く工程。お客さまのイメージを聞き取り、それに合わせた図案を、墨と筆で描きます。

 

Completion

⑤ 完成
地張りの提灯は丁寧に使っていただければ10年は使えるといわれるほどとても長持ち。店先やお寺・神社などで大切に使っていただいているのを見ると、とてもうれしい気分になります。

 
 
小嶋商店の提灯がある風景
有名な劇場から旅館やゲストハウス、飲食店にバーまで、小嶋商店がつくった提灯は京都のいたるところで見ることができます。小嶋商店の提灯を巡ることは、それだけで楽しい京都旅行プランにもなります。

 
南座

南座

祇園のそばにあり、歌舞伎などの公演が行なわれる有名な劇場。誰もが知っているこの南座のシンボルともいえる巨大な提灯を小嶋商店で制作しているということや、毎年12月に新しく作り直されているということは、京都に住んでいる人たちにもあまり知られていない。

 
 
京を味わう宿 京家

京家

入り口に取り付けられた旅館の差心としての提灯と、玄関の足元灯として使われている小さな提灯が設置されている。「赤ちゃんにやさしい宿」として認定されている
http:www.kyouya.co.jp/

 
 

Compass

Compass

築100年の町家を改修したゲストハウスCOMPASSの提灯も、小嶋商店が制作したもの。提灯にアルファベットが書かれている、とてもモダンで新しいイメージの提灯として好評だという。
http:www.compass-kyoto.jp/

 
 
高円

高円

繁華街にあるオシャレなバー。ここにシェイカーの形をしたユニークな提灯がある。店内でとても目立っていてクールな印象。
【Adress】京都市下京区仏光寺通烏丸東入ル上柳町331 タカノハスクエア1F
【Open】5:00pm~midnight
【Closed】Monday

小嶋家をめぐる父と息子たちの物語:親子であること、師弟であること。

小嶋商店は代々家族経営であったため自宅が作業場である。それゆえ俊と諒は子どものころから作業場が遊び場だった。
俊がはじめて家業を手伝ったのは彼が高校生のとき。仕事は寝る間もないほどに忙しく、父と他の職人たちとともに、つくりかけの提灯のあいだで眠る日が続いた。ふだん目にしていた、父や職人たちが何気なくやっている作業がこれほど難しいことだったのかということに驚かされたという。
それから俊は高校を卒業するとすぐに正式に小嶋商店の職人として修行の道に入った。師匠はもちろん父の護である。はじめは下仕事しかさせてもらえず、一日ずっと単調な作業の繰り返しである。出来上がったものを父に見せる。しかし父は何がダメなのか教えてはくれない。「経験して、失敗して、そして自分で考えろ」。護が俊に伝えたのはそれだけだった。
弟の諒は、およそ12年前に修行の道へ。そのころ俊はすでに竹割をさせてもらえるようになっていた。父の目の前に座り、父の作業を対面で見ながら見よう見まねでやる。ここでも細かい指導は一切なかった。いきなり最初の竹割で失敗し、指を切った。血が流れた。痛みが教訓となり、緩んだ気持ちで作業できないということを自らのからだで学んだ。このとき俊は、父の言っていることが少しだけわかったような気がした。

護にいま息子たち伝えたいことは?と尋ねると、彼は「家業を継げと言われたことは一度もなかったし、私も息子たちに継げと言わなかった。それでも、こうして息子たちが継いでくれると言った時にはやっぱりうれしかった。私は父に意見することが許されなかったけど息子らとは何でも話せるようにしたい」と言う。そして最後に「俊はすでに私の倍の速さで竹を割ることができる。諒は誰よりも美しく紙を張ることができる。これは本当に感心する」とふたりの成長を褒めた。俊と諒は「うわっ!親父がぼくらを褒めるなんてほとんど初めてのことですよ!」とはにかんだ。

Shun

 

伝統を守ること、未来につなぐこと。
時代の変化とともに伝統産業の置かれた環境は厳しいものになりつつある。そんななか、若いふたりはいまのライフスタイルにマッチした新しい提灯のありかたを提案している。
伝統はただ守られるべきものではなく、時代に合わせてアップデートしながら、たくさんの人々に使ってもらうことで、自然に受け継がれていくはずだと彼らは信じている。近い将来、ちょうど10代目となる俊と諒のふたりが、いままさに小嶋商店の新しい歴史を生み出そうとしているのだ。
 
 

Chibi-Maru
超小型の提灯「ちび丸」。一般の家庭でも使ってもらえる提灯をと考えられたものだ。また小嶋商店の工房では、「ちび丸」の製作体験ができるワークショップ(所要時間60〜90分)も開き、実際に手に取ってもらうことで素材や風合いの良さを体感してもらう機会を提供しており、修学旅行生や海外からの観光客にもとても人気が高い。
「ちび丸作り」体験教室の詳細はコチラ

Chibimaru

 
 

ENJOY KYOTO

小嶋商店

◉ワークショップの詳細はじめ小嶋商店に関して、くわしくは、ホームページからお問い合わせください。
Tel: 075-561-3546
Fax: 075-541-9448
Email: info@ko-chube.com
605-0971 京都市東山区今熊野椥ノ森町11-24

http://kojima-shouten.jp/

記事協力: ENJOY KYOTO

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