06.NAエンジン+マイルドハイブリッドはタウンユース+α向きの特性
パワートレインはワゴンRやハスラーなどにも搭載され、デュアルインジェクションシステムやクールドEGRなどの新技術を搭載して熱効率を向上させた660CC直列3気筒DOHCエンジン(R06D型)を搭載。試乗車のHybrid XとHybrid Sは、ISG(モーター機能付発電機)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせた独自のマイルドハイブリッドシステムをドッキングすることで、低速から中高速までの実用速度域で優れた燃費性能(WLTCモード25.1km/L)と軽快な走りを実現しています。
実際に乗ってみると、市街地では発進もスムーズで特に不足は感じないものの、嵐山-高雄パークウェイのような山坂道では、残念ながら1人乗車でも物足りなさが否めない印象。おそらく多人数+大量の荷物を積んでの走行や高速道路での走行も、同じように感じるはずなので、「ワゴンRスマイル」の利用シーンはタウンユース+αと割り切った方がストレスを感じずに済むでしょう。
とはいえ、ステアリング特性はまろやかで運転しやすく、構造用接着剤や高減衰マスチックシーラーを採用しているので、操縦安定性や乗り心地は上々。また、不快な音や振動を低減する遮音材などを最適配置していることもあって、静かで快適な室内空間を実現しています。
07.先進の予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を数多く搭載
「ワゴンRスマイル」は、軽自動車でありながら、以下のように先進の予防安全技術を数多く搭載しており、日常的に遭遇しうるほとんどのリスクを未然に防ぐことができます。
●夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、リアパーキングセンサーを標準装備。
●全方位モニター用カメラ装着車は狭路での車速が約5km/h以下でのすれ違い時に自動でナビゲーション画面に左側及び前方の映像を表示して死角を減らし、接触防止をサポートする「すれ違い支援機能」を搭載(スズキ初採用)。
●運転に必要な情報をカラーで見やすく表示するヘッドアップディスプレイ、長距離移動などでの運転操作の負担を軽減する全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)、ステレオカメラが認識した道路標識を表示する標識認識機能[車両進入禁止、はみ出し通行禁止、最高速度、一時停止]、さまざまな車両情報を楽に認識できるカラー表示のマルチインフォメーションディスプレイなどを「セーフティプラスパッケージ」としてメーカーオプション設定(Hybrid X、Hybrid S)。
今回はワゴンRの新モデル「ワゴンRスマイル」のレポートをお届けしましたが、ワゴンRの特長である広い室内空間と高い機能性を踏襲しつつも、スライドドアの利便性と個性的なデザインを兼ね備えており、日常使用のタウンカーとしては上々の出来栄えといえます。燃費性能の点でも他社競合車種を上回っているほか、顔つきもにこやかで愛嬌があるので、小さなお子さんを持つ奥様やペットがいるご家庭には、とてもオススメできる1台といえるでしょう。
ビデオリサーチ、ニールセン、Yahoo! Japanを経てフリーランスに転身。本職はマーケティングや広告だが、1990年代からモータージャーナリストとしても活動しており、とりわけ4WDやSUVには造詣が深い。
趣味はアウトドア(キャンプ、釣り)、バイク、アマチュア無線(JI1DLD)。犬と猫が好き。