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MAZDA CX-8 試乗レポート

ほかのキャビンスペースと同様にコックピット周辺は高級感が漂っており、操作系もマツダらしいシンメトリーな配置で馴染みやすい。センターディスプレイは、今回のマイナーチェンジにより8インチから8.8インチまたは10.25インチへ拡大されている

 

05.ハンズフリー機能付きパワーリフトゲートの設定で利便性が向上
「CX-8」には、以前からスイッチ操作でリフトゲートを自動開閉できるパワーリフトゲートの設定がありましたが、今回のマイナーチェンジでハンズフリー機能付きパワーリフトゲートの設定が追加になりました。これはリモコン操作などをせずとも、リアバンパー中央下部に足を出し入れするだけでリアゲートが自動開閉するので、両手に荷物を持っているときや子供・ペットなどを連れているときには大変便利な機能です。
また、ラゲッジスペースは定員乗車時でゴルフバッグ2個を積載できる239L、サードシートを倒すと67型のスーツケース3個を積載できる572Lの容量を確保(いずれもVDA方式、床下容量65Lを含む)。セカンド・シートとサードシートを倒せば、自転車2台を収納できるフラットなスペースが現れるなど、「CX-8」は大型SUVのメリットをフルに生かした大きな積載力を持っています。
 

ハンズフリー機能付きパワーリフトゲートはリアバンパー中央下部に足を出し入れするだけでリアゲートが自動開閉できるので、大変便利だ

ラゲッジスペースはシートアレンジで231L~自転車2台分まで拡大可能。パワーリフトゲートの開口部が広くフロア高も低いので、荷物の出し入れはとても楽にできる

06.3列シート車でありながら力強く滑らかな走りを実現
「CX-8」の全長は4,900mm、ホイールベースは2,930mm、重量は1,850kg(XD Exclusive Mode 2WD 6EC-AT)、一方で走行性能に定評のある「CX-5」の全長は4.545mm、ホイールベースは2,700mm、重量は1,610kg(XD 2WD 6EC-AT)。このスペック差が意味するところは大きく、実のところ見た目からも「CX-8」の走行性能については期待していませんでした。しかし、実際に走行してみると、事前の予想をいい意味で裏切る素晴らしい走りを披露してくれました。
それもそのはず、試乗車に搭載されている「SKYACTIVE-D 2.2」は、今回のマイナーチェンジで最高出力が140kW(190ps/4,500rpm)から147kW(200ps/4,000rpm)へ引き上げられており、ボディサイズや重さをほとんど感じることはなく、乗った瞬間からパワフルになったことを実感できます。ハンドリングも素直で思いどおりのラインをトレースでき、3列シートの大きく重たいボディの割にはマツダ車に共通する「人馬一体」の乗り味を体験できます。一方の乗り心地は、長いホイールベースとサスペンションストロークのお陰で、最上位モデルらしい上質で滑らかな走りを実現。ゴージャスなインテリアも手伝って、長距離走行でも快適で小気味いいドライブを楽しむことができます。
 

試乗車の「SKYACTIV-D 2.2」水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボディーゼルエンジン。今回のマイナーチェンジで最高出力が140kW(190ps/4,500rpm)から147kW(200ps/4,000rpm)へ引き上げられた。アクセルペダルの操作力も最適化されたので、加減速時のコントロール性も向上している

 

07.欲張りなニーズに応えつつバリュープライスが魅力
今回は2020年12月に3度目のマイナーチェンジを受けた「CX-8」を試乗しましたが、このクルマの最大の魅力は何といっても3列シートを備える上質なSUVであるところ。国内では多人数乗車+快適性を求めるならば「高級ミニバン」というイメージが定着していますが、マツダは「人馬一体」の走りを維持しつつ、多人数乗車のニーズに応えるには「3列シートSUV」が最適解と考えたのでしょう。
海外へ目を向けると、ボルボXC90やランドローバー ディスカバリーなどは、かなり以前から3列シートSUVとして存在していますが、どちらも車両価格は800万円前後と簡単には手が出ないレベル。ところが、「CX-8」はナビも標準装備でありながら、車両価格は約450万円と価格面では大きなアドバンテージがあります。だからといって、装備、乗り味、高級感などが犠牲になっているわけではないので、SUV+多人数乗車という欲張りなニーズを持っている方にはお勧めの3列シートクロスオーバーSUVといえるでしょう。
 

 

モータージャーナリスト / メディアプランナー
小原 裕一郎(Yuichiro Ohara)

ビデオリサーチ、ニールセン、Yahoo! Japanを経てフリーランスに転身。本職はマーケティングや広告だが、1990年代からモータージャーナリストとしても活動しており、とりわけ4WDやSUVには造詣が深い。
趣味はアウトドア(キャンプ、釣り)、バイク、アマチュア無線(JI1DLD)。犬と猫が好き。

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