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VW Arteon Shooting Brake 試乗レポート

「新型Arteon」は、どの回転域からでも力強く加速する2.0TSIエンジンに加え、7速DSG+4MOTIONとの相乗効果で、あらゆる走行シーンでスムーズかつ安定した走りが可能だ

 

10.2.0TSI+7速DSG+4MOTIONで、どのような路面状況にも対応
「新型Arteon」のパワートレインは、初代と同じ燃料直接噴射+マルチポイント噴射を備えるデュアルインジェクションシステムを採用した2.0TSIエンジンが搭載されています。さらに、シリンダーヘッドとエキゾーストマニホールドの一体化やエンジン内部のフリクションの低減など数々の先進技術を導入していますが、スペック的には初代の206kW / 280PS対して新型は200kW(272PS) / 350Nmと、パワーはやや抑え気味になっています。とはいえ、トルク特性などの改良が施され、全域でレスポンスが向上しているところが特徴。これに湿式7速DSGと4MOTION (フルタイム4輪駆動)が組み合わされ、どの速度域からでも力強くのびやかな加速をしてくれます。試乗当日は晴れたかと思うと突然にわか雨が降る不安定な天候でしたが、4MOTIONのお陰で濡れた路面も躊躇することなくアクセルを踏み続けることができるので、どのような路面状況であっても安心して走行することができます。
さらに、「新型Arteon」には、ダンパーの減衰力や電動パワーステアリングの特性を瞬時にコントロールする最新のサスペンションシステムDCC(アダプティブシャシーコントロール)を全車に搭載。ノーマル、コンフォート、スポーツの3つのモードから好みのサスペンション特性をチョイスできるので、街中は優雅でジェントルな走行、嵐山-高雄パークウェイのようなタイトな場所では俊敏でスポーティな走行を楽しめるなど、「新型Arteon」の豊かな走りを堪能できます。ちなみに、今回の試乗ではノーマルとスポーツを切り替えながら走行しましたが、どちらを選択しても高い剛性感とともに思い通りのラインをトレースでき、終始、滑らかで上質な走りを披露してくれました。
 

200kW(272PS) / 350Nmを発生する2.0TSIエンジン。「新型Arteon」では低中速域でアクセル操作に対するレスポンスが改良され、一般道でさらに扱いやすくなっている

第5世代のハルデックスカップリングを採用した最新の4MOTIONは、状況に応じて前輪・後輪のトルクを 100:0 から 50:50 に連続的に変化させ、どのような路面状況でも優れたトラクション性能を発揮する

11.あらゆる面で革新的な運転支援システムや快適装備を搭載
最近のクルマには、最新のテクノロジーを駆使したさまざまな安運転支援システムや快適装備が搭載されていますが、「新型Arteon」にも「新型Passat」、「新型Tiguan」、「新型Golf」に次いで4モデル目となる「Travel Assist」と呼ばれる最新のドライバーアシストシステムが搭載されています。このシステムは0km/hから210km/hまでの速度範囲で、ステアリング、ブレーキング、加速の操作を引き受けてくれる仕組みで、基本的には「ACC(アダプティブクルーズコントロール=加減速)」と「Lane Assist(レーンアシスト=車線変更)」をベースとして作動します。
「Travel Assist」を起動した場合でも、ドライバーはタッチセンサーが組み込まれたステアリングを握っている必要がありますが、たとえ長く平坦な直線道路であっても、「初代Arteon」のステアリング操舵角をベースにしたシステムと比較して、はるかに高い精度でドライバーがステアリングを握っているかどうかを検知することができるので、安全性がさらに高まっています。
このほか、ドライバーが意識を失うなど運転操作を行えない状態をシステムが検知すると警告音と警告表示により注意を喚起する「Emergency Assist」、スマートフォンアプリをワイヤレスで統合したオンラインサービス「App-Connect Wireless」、700ワットのサウンドシステム「Harman Kardon(オプション)」など、フォルクスワーゲンを象徴するモデルというだけあって最新の安運転支援システムや快適装備をもれなく搭載しています。
 

「Travel Assist」と呼ばれる最新のドライバーアシストシステムは、0km/hから210km/hまでの速度範囲でステアリング、ブレーキング、加速の操作を引き受けてくれる運転支援システムだ <出典:VGJ>

試乗車の「Arteon Shooting Brake TSI 4MOTION R-Line Advance」に装備されていた「Harman Kardon」サウンドシステム。大音量かつ高音質なサウンドでドライブをより楽しくさせてくれる

今回はマイナーチェンジを受けた「Arteon Shooting Brake」の試乗レポートをお届けしましたが、“Shooting Brake”というスタイルはメルセデス・ベンツの「CLS Shooting Brake」の登場以来、ヨーロッパ車で設定が増えていることは確か。そもそも、このスタイルは2ドアクーペに広い荷室を与えたボディスタイルとして登場したこともあり、デザイン重視で実用性がイマイチというモデルも存在しましたが、「Arteon Shooting Brake」は優れたパッケージングで広い室内空間やラゲッジスペースを確保。その意味では完成度の高い“Shooting Brake”といえます。個性的なスタイルと革新的なテクノロジーに、多用途性というプラスαを求めるユーザーとって、「Arteon Shooting Brake」は理想的で大変オススメできるクルマといえるでしょう。
 

 

モータージャーナリスト / メディアプランナー
小原 裕一郎(Yuichiro Ohara)

ビデオリサーチ、ニールセン、Yahoo! Japanを経てフリーランスに転身。本職はマーケティングや広告だが、1990年代からモータージャーナリストとしても活動しており、とりわけ4WDやSUVには造詣が深い。
趣味はアウトドア(キャンプ、釣り)、バイク、アマチュア無線(JI1DLD)。犬と猫が好き。

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