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Kyoto Premium Talk『クルマと、わたし』vol.2 ゲスト 笹岡隆甫さん(華道「未生流笹岡」家元)


伝統と革新を兼ね備えた華道とクルマ
極める道と走る道

 
2022年1月1日付で、新たにマツシマホールディングスの代表取締役社長に就任した、四代目の若きトップリーダー松島一晃と、KBS京都の看板番組たる『京biz』を立ち上げ、改編によるタイトルのマイナーチェンジはあるものの、メインキャスターとして出演する京都の経済情報のエキスパート、竹内弘一がタッグを組んでお届けするのが、フォーサイトウェブの特別企画、『京都プレミアムトーク』です。プレミアムを直訳すれば、『上質な』や『上等な』の意。手前味噌ではありますが、われわれは、京都にゆかりの深い豪華なゲストを交えたクルマにまつわるトークを通して、背伸びすれば手の届きそうなワンランク上の憧れのカーライフを、読者の皆さまに提案して参ります。本日、お招きしたのは、未生流笹岡家元の笹岡隆甫さん。人生を賭けて華道を極めようとする氏が生み出す作品は、まさしく伝統と革新のハイブリッド。僭越ながら、華の道に加え、これまでにハンドルを握って、アクセルを踏んできた道に関しても、じっくりとお伺いします。
 

Guest


華道「未生流笹岡」家元 笹岡隆甫

笹岡隆甫
1974年京都生まれ。華道「未生流笹岡」家元。京都ノートルダム女子大学客員教授。大正大学客員教授。京都市教育委員会委員。京都市の「DO YOU KYOTO?」大使として環境破壊防止を呼びかけている。2016年には、G7伊勢志摩サミットの会場装花を担当した。近著に『いけばな』(新潮新書)。
 
未生流笹岡 http://www.kadou.net/


 

マツシマが運営する伝統工芸発信基地「Kiwakoto」で対談スタート
竹内本日はお越しいただきありがとうございます。
笹岡楽しみにしておりました。よろしくお願いいたします。
松島ありがとうございます。この企画は弊社の自社メディア『フォーサイト京都』で、ご活躍されてる京都の文化人・経済人の方に来ていただき、「車」を軸にしたテーマでお話させていただきます。「クルマを、文化に。」をブランドスローガンとしていますので、“ただの移動手段”としての車ではなく、車にまつわる体験や思い出、感情やそういうところも含めてお話していただけたらなと思います。
笹岡さんにお会いするのは初めてですけれども、ずっとお会いしたかったです。今日ちょうど竹内さんからご紹介いただきまして、いろいろお話を聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。
竹内まずこの『Kiwakoto』で今回収録をさせていただくっていうのも、やっぱりその「クルマを、文化に。」というテーマに伴って考え、マツシマホールディングスの中で文化を発信していく拠点だというふうに思うんですけど、松島さんからこの『Kiwakoto』について簡単に説明していただきます。
松島京都を中心とした伝統工芸の技術を用いて、現代のライフスタイルに添った商品を開発し販売するブランドです。「クルマを、文化に。」っていうところもそうなんですけど自動車業界は今“100年に1度の大変革期”と言われてまして、自動運転だったり、電気自動車やシェアリングだったり結構「移動」っていう側面にスポットライトがあたりがちなんですけど、やっぱり本来は自動車ってもっとエモーショナルなものだと思うんです。移動手段やと思うと別にタイヤが4本ついていて走れば何でも良いやんっていう世界なんですけど、わざわざ自分のこだわりを持って、納期に1年かかっても待っていただく方もいらっしゃいます。高いお金払っていただいてまでわざわざそういうお車を選んでいただけるっていうところに関して言うと、伝統工芸と同じようなものだと思います。例えばハサミや茶器などでもある程度は機械で量産できるものですけど、やっぱり職人さんによってわざわざ手で作られたものの美しさや魂を感じるのって、何か近しいものがあるなと感じるんです。車に対してそういう思いを持っていただいてる方で伝統工芸に対してもまだまだ知らない方も多くいらっしゃるんです。でももっと知っていただければ、そういうものに思い入れや感情を強く抱いていただける方ってまだまだいるんじゃないかなと思います。京都でもずっと商売させてもらってるんで、伝統工芸の裾野を広げるという意味でも、少しでも京都に恩返しできたらなという想いでさせてもらってます。

 

「Kiwakoto」で対談スタート

 

 

Kiwakoto本店 店内

 

 

コトを成すために、和(ワ)をもってキワコトを生み出す。
きわこと(際殊)は、古語で『格別であるさま』という意味を持ちます。職人による手仕事、個性と個性のコラボレーション、用の美を追求したデザイン。他にはないこだわりをかたちにしてお届けするという想いをブランド名として表現し、伝統工芸の技術を用いたラグジュアリーなライフスタイルを発信するショップです。

 

「京の伝統」が抱える問題と、これからの話
竹内今回のロケーション「Kiwakoto」は、ゲストである笹岡さんとの親和性も高いですね。お花なんてまさに伝統工芸・伝統産業の塊ですよね。
笹岡はい、我々の文化って本当にいろんな方に支えられて成り立っているなと強く感じるんです。例えば花材一つとってみても、毎回我々が山に入って採ってくるわけにはいきません。生産者の方、山に入って枝を切ってくださる切り出しの方がいらっしゃって、花市場があって、お花屋さんがあって、ようやく我々の手に、というようにたくさんの方に支えられないと成立しないんですよね。器もそうだし、花バサミもそうですし、いろんな方が支えてくださって、初めて文化が成り立ちます。
ただ、我々が感じる危機が2つあります。1つは環境破壊。日本の四季というものが失われつつあります。昨年も秋が短く、夏が終わるとすぐに冬になったように感じました。四季折々の美しさをどう表現していくかということに非常に悩まされます。
そしてもう1つの危機が、担い手不足。文化そのものの担い手もそうだけれども、もっと深刻なのが支えてくれる職人さんがいらっしゃらないということなんですよね。職人さんがいらっしゃらないと我々は困ります。例えば花バサミ一つも手に入れられない状況になっちゃうんですよね。一握りの売れっ子作家さんは、食べていけるし成り立つんだけれども、普段のお稽古に使う方からすると1本数万円もする高価なハサミは普段使いしにくいので、数千円で購入したい。でも、それを作ってくれる人がいないという状況なんですね。お花を生ける器にも同じことが言えます。
松島なるほど、どのように解決していくべきなのでしょうか?
笹岡海外の方を含め、跡継ぎを育てようという話もありますけど、実際は思うように進んでいないようです。だから今の高齢の世代のいい職人さんがリタイヤされたら、そこで途絶えてしまうのではないでしょうか。
松島例えばその問題に対して何か我々がお役に立てるとしたらどういうことができるものでしょうか?
笹岡そうですね、近い将来、ちょっと高級な刃物の職人さんのところにお願いすることになると思います。ただ、初めて華道のお稽古する方には最初から数万円で購入するとなると難しいので、そのセカンドライン的なのを作っていただけると非常にありがたい。例えば、そこで修行中の方が作ってくださるものでもいいと思いますし。もしくは、今の技術をそのまま習得するのは難しいから、それに代わる技術を新たにつくっていく、ということも解決策になるんじゃないかと思います。
松島やっぱり人口を増やすしかないんですかね? 華道の生徒さんがもっと増えるとか。
笹岡おっしゃる通りです。文化が広がっていれば道具がそれだけ必要になるから、職人さんもある程度増えるけれども、現状だと出荷数量が少なく当然職人さんも稼げない状況になっています。
松島一晃
笹岡隆甫
竹内ハサミだけでなくおそらくいろんな伝統・文化において職人さんたちがいなくなってくると思うんです。その技術自体はオールマイティな人たちが幅広く手掛けてくれるのではないかと想像できます。1つだけでなく2、3種類作ることでお仕事の依頼が増えるので、例えば花ハサミを作るけどキッチンバサミなどの他の商品も作るとかね。とある新潟県の爪切りの会社が今話題になっていて、ペンチ式の1万円ぐらいする爪切りなんですけど、著名人とか芸能人も使っているとかで広まって、全然切れ味が違うというので、圧倒的なその技術が認められるといろんなことにもチャレンジできるのかなと思いますね。
竹内そんな問題意識をお持ちの笹岡さんからご覧になったら、この『Kiwakoto』の事業をどう思われますか? これまで自動車の販売のディーラーをメインでやってきたマツシマホールディングスが、「クルマを、文化に。」というテーマで伝統工芸・伝統産業を何とか盛り上げていこうという動きをしているということについてどう思われますか?
笹岡文化・工芸を盛り上げてくださっているというのは本当にありがたい。京都は確かに伝統文化・伝統工芸の街なのですが、プロデュースが苦手。今までそれほど大きくスポットが当たっていなかった実力のある担い手たちを見出して、この良い立地で展開されているというのは、頼もしい限りです。
松島ありがとうございます。京都で事業をしているので、京都の役に立ちたい、ということは常々考えています。
笹岡花の器を作ってくださったり、さっき“わざわざ”とおっしゃったような、新たなドキドキや感動をプロデュースされてるのを目にすると、こちらまでワクワクします。
職業故の「フォルム」へのこだわり
竹内車の話に入っていきたいなと思うのですが、車はよく乗られますよね?
笹岡はい、よく乗りますね。花と器を持って動くことが多いので、車での移動が基本です。他人に運んでもらうより、自分で運ぶ方が安心なので、とにかく荷物がたくさん積めることが重要です。
松島そうですよね。それが結構意外で、笹岡さんはもっと何か感性の世界で車をお選びになられてるのかなと勝手にイメージしてて(笑)
笹岡はい、そこは実用を重視してます(笑)
松島そりゃそうですよね(笑)
笹岡そうなんですよ、車は好きだけどむちゃくちゃ走りたいっていうわけではないんです、元々。
竹内今はフォルクスワーゲンのシャランに乗ってらっしゃいますけど、荷物がたくさん乗る車はいっぱいありますが、このシャランを選ばれた理由っていうのはどんなところでしょう?
笹岡そうですね。かなり実用的な話をすると、うしろが完全にフラットになるので大きい花器が入るということですね。あとは形がやっぱり良いなと。普段、荷物を載せずに乗ることも当然あるわけですけど、その時乗っててもやっぱりいいなと感じる車ですね。
竹内僕もシャランに乗ったことがあるのですが、荷物も載るし人もちゃんと後ろの座席も3つありますよね。人のことをすごく大切にしている車だし、派手さはないけどとにかく人が運転しやすくて安心感も感じられるように作られた車だと思ってるんですけど、そのあたりどうですか。
笹岡確かにね、自分で運転しても疲れにくいですけど、子どもたちにとっても快適なようです。机もついていますよね、あれで宿題もできるので(笑)案外使いやすいなと思います。
竹内(笑)この机誰が使ってるんやろう?と思ってたんですけど、そういう使い方もできるんですね。
松島そういう使い方っていいですよね。車の中で何かをするってなんかすごく有効的で、移動自体も楽しめるという。仕事もしながら子育てもしながら、頼れる相棒ですね。
笹岡本当に車は手放せないですね。
松島もし、全く何の制約もなく選ぶのであれば、こういう車乗りたい、という車は?
笹岡そうですね、乗ってみたいなって思うのはやっぱりポルシェかな。
竹内どんなところがポルシェの魅力ですか?
笹岡走りたいというわけではなく、形が好き。フォルムが綺麗なんですよね。ポルシェは昔から一度乗りたいなという憧れの車の一つです。
竹内子育てが一段落して、自由な時間を持てるようになったら是非乗っていただきたいですね。
松島やっぱり形なんですね、選ぶ基準っていうのは。
笹岡そうですね、フォルムの美しさに加え、色も気になります。職業と関係があるのか分からないですが。
松島やっぱり職業柄、関係ありそうですね。

 

笹岡隆甫 竹内弘一  松島一晃

 

 

 

 

竹内未生流笹岡のお花は、僕はもう何度も取材させてもらってるから、聞いてるんですけど、美しい長さの黄金比的なのがあるんですよね? なんかアートやけど科学的で、美しいフォルムを導き出すための比率があるっていうお話を聞いたのを今思い出しました。
笹岡10対7の白銀比ですね。美の基準って、人によって違うし時代によっても変わっていくものだから自分の好みで選んだらいいのですが、生花教室に入門して最初に学ぶことっていうは「自分のセンスを出すこと」ではなくて、逆に「自分のセンスを引くこと」なんです。
入門して最初に学ぶのは、昔の名人のセンスです。師匠から弟子へと研究研鑽を重ね数百年かけて作った一つの答え=唯一解ではないけれど最大公約数的な答えが、各時代に生み出されました。まずは、それを自分のものにする。おばあちゃんの知恵袋を自分のものにするところからスタートするんです。昔の名人のセンスを“盗む”と言い換えてもよい。その一つが、「白銀比」。昔の大工さんが使っていたL字型の定規「曲尺【かねじゃく】」は、表と裏の目盛りの幅が違っていてルート2対1という比率。このルート2対1っていうのは丸太から角材を取り出すときに重要な寸法で、大工さんはこの比率を使って柱用の木を選んでいたんです。寸法に使われるぐらい日本人にとってなじみがあるのがこのルート2対1(10:7)だった。それをいけばなにも転用して、その比率で長さを整えれば綺麗だよね、と説明したのでしょう。白銀比さえ知っていれば誰でも名人と同じ花がいけられる。ロジカルで、非常に便利なものですね。このロジックは車のデザインにも当てはまりそうですね。
松島なるほど、深いですね! お花の技術と、大工さんの技術に共通点があったなんて、面白いですね。
笹岡1本目の枝に対して2本目がルート2分の1、つまり約7割。さらに3本目は2本目の7割、と長さを変えていけば誰でも生け花の名人になれる。学校の勉強みたいなもので方程式の解の公式を知っていれば誰でも答えを導き出せるわけです。もちろん、最終的にはそれを破って今の時代に合った新しい花を作らなくちゃいけないんだけれども、最初からそれをやろうとしても、やっぱり型無しになってしまいます。型を知った上で、型破りを目指しましょうというのが、生け花の基本的な考え方です。型破りをするにはまず型をできるだけ早く習得したいわけです。生け花教室が担うのは、この型の習得です。
松島まさに「守破離」ですね。弊社は現代アートのギャラリーも運営しているのですが、現代アートの世界も一緒みたいですね。僕もそんな語れるほど詳しくないですけども、やっぱり基本がまずあって、いかにその基本をルール内で破るか、みたいなのが評価の基準と聞きました。
笹岡あのギャラリーめちゃくちゃ良いなと思っていました。
松島ありがとうございます。
笹岡古典のいいところはちゃんと吸収して、最終的にはその時代に合わせて新しいものを作り上げるっていうのは、どこの世界でも同じなんだろうと思いますね。。

 
 

クルマと環境の未来
竹内そんな中で、今の活動の中で力を入れてるのが、やっぱ「環境に関すること」、それから「担い手不足」ですよね。環境の話になると、分が悪いのが自動車のこと。車もどんどん環境対応してきてて、EVも増えてきていたりいろんな選択肢ができていると思うんですけど、環境問題を解決しながら、その移動手段としての車、そしてまたそこに付加価値のある乗り物っていうのはどういうふうに進んでいったらいいでしょうか。
笹岡EVシフトはおそらく進んでいきますよね⋯⋯技術が進んでいけば、そこまで環境負荷は高くならず、車を楽しむことも可能なんじゃないかなという気がします。エンジンにこだわる人もいるだろうけれども、今の若い子はどうなんでしょうね。我々世代は学生時代の友達で走ることが好きな連中が結構いたので、走りに行く車に一緒に乗せてもらったりしたんですよね。エンジンの加速の音であったり、体にG(重力)がかかるっていうのは、高揚感みたいなものがあって、走ることに対する憧れを抱きました。
竹内実はね、ガソリン車より電気の車の方が加速が良かったりするんですよ。あのG(重力)の変化は、実は電気自動車の方が楽しめたりするそうです。
笹岡そうなんですね! エンジン音は?
竹内音は、いかようにもつけられるんです。
松島一晃
笹岡隆甫
笹岡電気自動車でも音はつけた方がいいと思います。静かだと、かえって落ち着かない。人間は加速を体感することで、高揚感を覚えるんじゃないかな。エンジン音や風を切ってる感覚がないとリアルとバーチャルの世界の境目がどんどんなくなっていく気がして、違和感があります。せっかく自分で運転するんだったら、体感できないとつまらない。そのあたりは、これから変わってくんじゃないかな。EVシフトをはじめ、環境問題に配慮しつつ、車で走ることの魅力をどう残せるか、が重要なのかもしれませんね。そこがクリアできれば、車に興味を持つ若い子たちももっと出てくるんじゃないかな。今の我々世代までは車好きが多いだろうけど、若い子たちってそうじゃなかったりするじゃないですか。そういった子たちにもやっぱり車の楽しみを知って欲しいですね。
松島EVシフトして、環境に配慮しながら車に乗る楽しみ、高揚感やワクワク感を乗る人に与えられる車、というのがテーマになってきますね。
笹岡人間って自分の身体ひとつだったらそこまでスピードが出ないけど、自転車だったらちょっと速く移動できますし、車だったらもっと速く⋯⋯って。それって大人になっていくステップだったわけじゃないですか。自分で車に乗れたときの最初の“大人になったよ”という気持ちっていうのを今の若い子たちにも味わってほしいなと思います。

松島今、各自動車メーカーがEVシフトを進めてるんですけど、味付けのための音は各社で違うんです。モーターが回ってるのにエンジンの音がしたら、やっぱりエンジンの方がいいよねってなっちゃうんですよ。だから、モーターのオリジナルの音を各メーカーが必死で探してるんです。
笹岡おもしろい! 楽しみですね!
松島おそらくあと5年、10年したら、定番のモーター音みたいなものが作られてるのかなと思います。

 

 

『クルマと、わたし』vol.2 ゲスト 笹岡隆甫さん

 
 

「嫌い」で「好き」なのは、職人の息吹が感じられるから
竹内昔友達に乗せてもらったっていう話もありましたけど、笹岡さんが忘れられない車ってありますか?
笹岡松島さんが扱ってらっしゃらなくて申し訳ないのですが、ジャガーのデイムラー・ダブルシックスという車ですね。何年式だったかな⋯⋯とにかくよく壊れた車でした(笑)
松島おいくつぐらいの時に乗ってらっしゃった車ですか?
笹岡学生時代ですね。祖父が自分の車として買ったんです。でも祖父は免許を返納していたので。基本私が乗ることになったんです。もちろん祖父の送迎も含めてですけれど。でも、よく壊れたなー。(笑) 当時のイギリス車はエンジン系統もですが、エアコンとか電気系統もすごく弱くて。ゴールデンウィークに琵琶湖にバーベキューに行こうという話になって、1号線を東へ向かっていたらエアコンが壊れてしまって、結局バーベキューせずに帰ってきたという、もう最悪な状況でしたね。(笑)
竹内20世紀を代表するデイムラー・ダブルシックスって、12気筒エンジンで、内装もすごく素敵な車ですよね。
笹岡形はめちゃくちゃ綺麗。フロントグリルは職人さんの叩き出しで、クラフトマンシップの塊という感じが、すごい良かったですね。好きだったけど、嫌いだったな⋯⋯。そういう壊れる車ってちょっと思い出深いじゃないですか。愛着はありましたね。手作りの良さがあって、職人さんが細部まで調整して作ったんだろっていうぬくもりを感じましたね。
竹内今の車って、なかなか普通では壊れないじゃないですか。「この車壊れますけどめっちゃかわいいですよ」みたいな車があったら逆に売れるかもしれないですね。
笹岡母が今乗っているプジョーは窓が落ちましたけどね(笑)あの車⋯⋯何年経つのかな? 3年ぐらいの間に2回位窓が落ちて、さらにもう1回、エンジンが止まり、全部で3回壊れましたね。
竹内もうマツシマホールディングスで扱ってる車を買ってもらえば解決です。
松島いや、絶対ないとは言えないですけど(笑)
笹岡でも愛着持って乗ってるんですよね。形はかわいいですし。
竹内ありがとうございます。松島さん、どうですか? 今日笹岡さんと初めて会われたということで、お話を聞かれて。
松島いや本当にお人柄はイメージ通りですね。やっぱり車でも形にこだわられる、というのは伺ってて面白かったです。
笹岡言われてみればそういう気がします。形とか色に惹かれるんですよね。素材感も質感とかもちろんそうなんですけど、何が一番って言ったら形が一番ですかね。職業病じゃないかな? お花って素材は絶対本物じゃないですか。素材の本物感っていうのは当たり前なのでそこにこだわりはあんまりなくって。我々はその本物の素材に手を加えます。元々曲がってる枝の面白さをさらに強調したりとか、逆に曲がってるものをすっと見せるために真っすぐに伸ばしたりとかするんだけど、それって形にこだわってる訳なんですよね。なので、ちょっとしたラインの美しさであったり乱れであったり歪みであったりっていうのに、敏感なのかもしれないです。
松島そういうお話で、やっぱり改めて車の選び方とか楽しみ方って人それぞれなんだなあと、いい意味でそう感じますね。
笹岡僕はフォルムで選んでますね。フォルムが好きなんだなと思います。
松島この「Kiwakoto」の商品に、笹岡さんがプロデュースする商品なんかも挑戦してみたいですね。花器ももちろんですし、「形」にこだわった商品ができたらめっちゃ楽しそうです。
笹岡そういう機会がいただけたらすごくありがたいです。是非ともお声がけください。
竹内今日はどうもありがとうございました。

 

 
 

Location


Kiwakoto 本店
(https://kiwakoto.com/)

Kiwakotoは、クラフツマンシップを軸にした、プロダクトを企画開発・製造・販売するブランドです。コトを成すために、和(ワ)をもってキワコトを生み出す。きわこと(際殊)は、古語で『格別であるさま』という意味を持ちます。
職人による手仕事、個性と個性のコラボレーション、用の美を追求したデザイン。他にはないこだわりをかたちにしてお届けするという想いをブランド名として表現しました。
 
京都市中京区河原町通二条上る清水町359 ABビル1階
アクセス 地下鉄東西線「京都市役所前駅」徒歩3分
営業時間 AM11:00-PM6:00 不定休
TEL 075-212-0500

Kiwakoto

 
 

Profile


マツシマホールディングス社長 松島一晃

松島一晃
1986年生まれ。「クルマを、文化に」という想いのもと、京都を中心に10ブランドの正規ディーラーが複合するグループ会社 マツシマホールディングスの社長。本企画ではインタビュアーに初挑戦。ゲストの感性や人間性に触れる対談にご期待ください。

竹内弘一

竹内弘一
I977年生まれ。キャスター・ジャーナリスト。京都先端科学大学特任教授。21年間、KBS京都アナウンサー兼記者として活動したのち、独立。現在は社会起業家として京都市でこども宅食事業を立ち上げ、大学院で論文執筆に励む。培った人脈を活かし、本企画のゲストブッキングを行う。

 


写真:加川雄一(U-one Photography Studio)

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