試乗ブログ メルセデス・ベンツ CLS450 sports(ISG搭載モデル)
乗る人の魅力を高めてくれる不思議な存在
メルセデスが変わった!!
3世代目のCLSは、メルセデス・ベンツからこれからリリースされるニューデザインの象徴となるとても大切なモデルです。
テーマは「オグロメジロザメ」。サメがテーマ??とびっくりしましたが、CLSの周りをぐるっと見てみると「確かにサメ感満載だ!」「かっこいい!」と素直に納得できます。
またボディー側面の中央を通るプレスラインがありません。クルマをシャープに見せてくれるプレスラインですが、最近の車はより鋭く、より多く入る傾向があります。金属加工の技術が進化しデザインも複雑になっていますが、メルセデスはプレスラインを入れずに、シンプルな造形で美しさを表現することを選択しました。これは、プレスラインに頼らないより高度なデザインに挑戦することを意味しています。
そんなことを考えながら何周もCLSの周りをグルグル回ってしまいました。
でもよく考えてみると、CLSは初代の登場から度肝を抜かれました。
質実剛健の権化のようなメルセデスが、いきなりスタイル命!のクルマを出してきたのですから、それはそれはビックリしました。世界が魅了されました。そして2代目、3代目と進化してきたわけですがCLSは常に「かっこいいクルマとはどんなデザインか?」を提示し続けてきたのです。
エンジンは完全バランス
CLSはスタイルが一番の特徴ですが、実は私が今回、心底感動したのはエンジンです。
メルセデスのエンジンはこれまで「黒子」でした。あまり存在を主張しないけれど、しっかり黙々と働いてくれる、そんな存在です。一方、大排気量のV8エンジンは「ドロドロドロ」と往年のアメリカ車的な音を響かせ、これはこれで多くのファンを獲得しました。
今回、CLS450に搭載されるのは3ℓ直列6気筒ターボにモーターを直結したISGと呼ばれる新世代パワーユニットです。メルセデスは直列6気筒をやめてV型6気筒を20年以上作ってきましたが、ここに来て「直6」が復活したわけです。この直6は、様々なエンジン形式のなかでもベストの「完全バランス」とされ振動が最も出にくいと言われています。しかし、これまでは全長が長いことが衝突安全性の面でネックとされV6に主役を奪われていました。しかし、直列でも全長を短くすることができ、モーターを直結することで、スムーズさ、パワフルさを両立することに成功しました。精密なエンジンが、緻密に回っている音は、さわやかで抜けが良く、まさに快音です。このようなエンジンは、メルセデスでは久々ではないでしょうか?ようやくメルセデスのブランドイメージにぴったりのパワーユニットが出来上がったと私は絶賛したいと思います。
また最近のスタンダードになったアイドリングストップですが、どうしても再始動時に
「ブルルン」と振動があり、音も大きくなります。しかし、エンジン直結のモーターがあるISGは、再始動時の「ブルルン」が一切なく、驚くべきスムーズさでエンジンが再始動します。これは一度経験してください!「やっぱりメルセデスは自動車を発明した会社だ!常に一歩先を行く技術を控えめに繰り出してくる」とうなされます。厳密に言えばハイブリッドなんですが、あくまで主役はエンジン!ISGはこれからのメインになるユニットだと断言します。
モード切替を積極的に使おう!
CLSには、状況に応じた走行モードがエコ、コンフォート、スポーツ、スポーツ+の4つ設定されています。メルセデスの各モデルにも設定されているのですが、やはり大概は「コンフォート」が一番しっくりくるんです。ただCLSにはスポーツ、スポーツ+が似合います。高速道路などはゆったり快適空間を楽しんでいただければと思うので「コンフォート」がおすすめですが、ワインディングロードはもちろん、市街地でも「スポーツ」にしておくことで、かなり大きな車体が二回りぐらいコンパクトに感じられてキビキビ運転することができます。
自分を高めてくれるCLS
CLSは世界でも有数の「かっこいい大人の4ドアクーペ」です。このクルマを着こなすのは相当ハードルが高いともいえます。でも、クルマに負けじと背伸びしてかっこつけてもなかなか勝てません。
大切なことはCLSと自分のツーショットを意識しながら、かっこつけないことです。
そうすることで、知らない間に、自分は高められ、CLSのかっこよさにフィットしてくるはずです。
人間がクルマをチューンして育てるということはありますが、CLSは、クルマが人間を高めてくれる、そんな人生のパートナーになってくれる存在だと思います。
道具としてガンガン使い倒すクルマもOK。フォーマルでびしっと決めるクルマももちろん必要。でも一緒にときを過ごすことで知らぬ間に、自分がかっこよく素敵になっていけるクルマはそうはありません。
人生に与えられた時間には限りがあります。その限りある時間のなかで、どんなクルマと時間を過ごすのか?選択肢はたくさんありますが、あなたを素敵にしてくれるクルマがここにあります。
1977年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。2000年KBS京都にアナウンサーとして入社。現在はニュースの編集責任者=ニュースデスクも務める。国政、府政などの選挙特番の司会、構成も手掛け、京都の政治、経済の現場を幅広く取材中。クルマ、ゴルフ、料理好きの3人の子どものパパの両面を併せ持つ。