「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2022」が、2022年4月9日(土)より開幕した。日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開し、ときに伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある写真祭を目指しています。
第10回目の開催となる2022年のテーマは「ONE」。あらゆるものは一つにつながり、関わり合って存在している、そんな思いが込められています。
KYOTOGRAPHIEの全プログラムは、メインプログラム、アソシエイテッドプログラムなど、1日で全ての会場を見てまわるには時間が足りなくなるほど。20人の作家による10のメインプログラムから印象的なシーンをピックアップして紹介します。
〉〉 KYOTOGRAPHIEオフィシャルサイト https://www.kyotographie.jp/
アーティスト名の前に記載のナンバーはKYOTOGRAPHIEのマップフライヤーに記載の会場番号
9-b プリンス・ジャスィ「いろいろ アクラ──キョウト」
会場:出町桝形商店街 ー DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space
KYOTOGRAPHIEでは2020年からアフリカのアーティストを招聘し、グローバルなアーティストとローカルな商店街をダイレクトにつなげることで新たな表現を生み出すプログラムを実施。本年はスマートフォンから作品制作をはじめたガーナ出身のプリンス・ジャスィ。
京都に滞在して、出町にある桝形商店街で制作を行う予定だったが、来日が叶わず、出町桝形商店街ならではのTシャツやのぼり旗などをガーナに輸送して撮影が行われたとのこと。昔ながらの風情が残る商店街のアーケードには、巨大プリントしたその作品が吊り下げられています。ガーナの市場に通う人々と、古くから続く商店街の営みが共鳴しあって見える。
10 奈良原一高「ジャパネスク 〈禅〉」
会場:両足院(建仁寺山内)
京都最古の禅寺として知られる建仁寺の塔頭の一つ、通常非公開の「両足院」では、2020年に逝去した奈良原一高の代表的なシリーズ〈Japanesque〉のうち〈禅〉を展示。
曹洞宗大本山總持寺(神奈川県横浜市)や總持寺祖院(石川県輪島市)にて、禅僧や僧堂等を被写体とした作品の一つひとつには、力強さや厳粛さが感じられる。
両足院の美しい庭や茶室の雰囲気と共に作品を鑑賞したい。
8 鷹巣由佳「予期せぬ予期」
会場:y gion
Googleのロゴカラーである黄赤青緑白で写真を検索し、写真を色ごとに分類。辞書のように編纂し重厚なサイズの5冊の本に仕上げた作品が、2021年に創設された「Ruinart Japan Award」の第一回受賞者となった。
本展では受賞作のエッセンスを交えながら、ルイナールのシャンパーニュカーヴがあるランス滞在中に制作した撮り下ろしの新作を展示する。
4 イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛「BORN-ACT-EXIST」
会場:誉田屋源兵衛 黒蔵、奥座敷
江戸時代から続く帯匠〈誉田屋源兵衛〉本店では、現当主・十代目の山口源兵衛と、ダンサーの田中泯、写真家のイサベル・ムニョスのコラボレーション。2017年春にKYOTOGRAPHIEで誉田屋で展示をした際、誉田屋の織物や日本の古布にいたく感動し、「日本の根源を探求したい」と制作を決意したことが始まり。
誉田屋源兵衛の工房があり太古の自然が残る奄美大島で、泥に潜り込む山口源兵衛と、海のなかで踊る田中泯を撮影。
イサベル・ムニョスがスペインで制作したプラチナプリントを京都で裁断し、糸に紡ぎ織り上げられた山口源兵衛作の帯も展示されている。
2 マイムーナ・ゲレージ「Rûh|Spirito」
会場:臺(しまだい)ギャラリー
イタリア系セネガル人アーティストのゲレージは、敬虔なクリスチャンの家系に生まれ、セネガルで過ごしたのちにイスラム教に改宗。「霊」を意味するアラビア語とイタリア語をタイトルに、イスラムの精神的な世界を表現している。
9-a プリンス・ジャスィ「いろのまこと」
会場:ASPHODEL
祇園のギャラリーASPHODELの壁面を覆う、ガーナ出身のプリンス・ジャスィの作品。高校生の頃にiPhoneで撮影した作品が注目を浴び、Appleとコラボレーションしたり、スーパーモデルのナオミ・キャンベルを撮影したりするなど、20代半ばにしてアフリカの現代アートを牽引する存在となる。スマートフォンで写真を撮り、編集や加工などの工程をスマートフォンでも行い、ピンクやブルー、グリーン、イエローのビビッドでグラフィカルな作品を制作している。
1 ギイ・ブルダン「The Absurd and The Sublime」
会場:京都文化博物館 別館
フランスの「VOGUE」誌や、シャネルをはじめとするブランドの広告を数多く手掛け、ファッションフォトグラファーとして名高いギイ・ブルダン。京都文化博物館の歴史的建物の中に作られたカラフルな展示会場の中には、初期から晩年までの作品が並んでいる。
写真:市川善朗(マツシマホールディングス)
■ 「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2022」の開催概要 ■
会期: 2022年4月9日(土)〜5月8日(日)
会場: 京都文化博物館・別館、京都市美術館 別館、出町桝形商店街ほか京都市内各所
主催: 一般社団法人KYOTOGRAPHIE
共催: 京都市、京都市教育委員会
後援: 京都府、在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
公式URL: https://www.kyotographie.jp/