京都を拠点に世界一を目指すブレイキンクルー「BODY CARNIVAL」
音楽に乗せて、回ったり跳ねたりアクロバティックな動きを取り入れたダンス「ブレイキン」。
ソロ(個人戦)とチーム戦があり、DJがかける音楽に合わせて即興で1人ずつダンスを披露し合い、技術や表現力それに完成度などを競い合う。ブレイクダンスとも呼ばれ、若者を中心に人気を集める中、2024パリ五輪ではソロが新競技として採用されている。
京都を拠点に世界大会で活躍するブレイキンクルー(チーム)がいる。それが「BODY CARNIVAL」だ。ブレイキン日本代表強化選手として活躍するダンサーが揃い、クルーとしても2021年パリで開催された「BATTLE PRO WORLD FINAL 2021」、2023年3月の国際大会「Undisputed Masters Tokyo」で優勝に輝いた。
B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「京都ハンナリーズ」のホームゲームで、ハーフタイムショーに出演した彼らに、京都を拠点とする想い、ブレイキン観戦初心者向けに楽しみ方など聞いた。
京都ハンナリーズホームゲームに出演した5名
Jun1
沖縄県出身。ダイナミックな回転技を得意とし、日本人離れしたスピード感のある技を繰り出す。
ISSIN
岡山県出身。2022年Red Bull Breakdance Championship One Japan優勝、World Finaベスト4。
AYUMI
京都府出身。2021年世界選手権と2023年全日本選手権で優勝。パリ五輪のメダルの期待がかかる。
TOA
京都府亀岡市出身。日本人ダンサーとして初めてモンスターエナジーとスポンサーシップを締結。
SOTA SKY
大阪府枚方市出身。2021年フランスで開催された世界大会「Trophee Masters Toulouse」で優勝。
- 今ブレイキンが大注目されていますよね
- TOA僕が始めた頃はスポーツでもなくて、五輪にも縁がないものだと思ってやっていました。ユース五輪に初めて採用され、その流れがあって、パリ五輪に採用されて、ここ1,2年で強化選手の事業が始まり、メディアにも注目していただいて、どんどん変わってきていると感じています。
ブレイキンは、スポーツの要素はあるのですが、元々カルチャーの部分から来ているものですので、両方の良いところがあるから、僕らは続けているし、そこにすごく価値があると思っています。それを僕らも発信したいですし、一般の方にも知ってもらえたら嬉しいです。
- みなさんのダンスの特徴をおしえてください
- ISSINパワームーブというクルクル回る技が得意です、五輪や関係の紹介などでいつもキャッチコピーとして言っているのが「爆裂」で、最近付け足して「爆裂桃太郎」と言っています。岡山なので。自分の中で一番強い部分と思っているムーブをバンバンと重ねて入れて爆裂させていきます。その爆裂を見てほしいです。
- Jun1クルクル回るパワームーブが得意ですが、体が小さいのもあるので、速さを出すことが得意です。このチーム内でもいつもふざけてみんなを楽しませて、ダンスでもちょっとボケたししているんですけど、そういう内面的なところも自分のいいところかなと思います。
- AYUMI私はみんなと全然違うタイプで、細かい動きにすごくこだわっています。スムーズにちょっと変わった動きをたくさん取り入れて、お掃除スタイルという名前を付けています。
- TOAどちらかというとオールラウンダーです。ブレイクダンスにはいろいろな動きがあるのですが、スピードだったりキレだったり、動きの速さと緩急的なものをすごく大事にしています。
- SOTA SKYどちらかといいうとパワームーブ、回る方が得意なのですが、その動きの中にトーマスという体操の鞍馬に似た動きを入れています。パワームーブをみんなと違う風に見せていくみたいなのが自分の特徴かなって思います。
- バスケットのハーフタイムで披露したショーケースと大会で行われるバトルの違いは
- AYUMIショーケースは、見ている人を楽しませることを目的としていますので、曲や振り付けは前もって用意しています。バトルという試合になると、曲は何がかかるのか分からなくて、DJによって選曲された曲に合わせて即興で踊り、ジャッジによって勝敗が決まります。
- バトルでは、対戦相手をあおったり、仲間のダンスを指さしたりするのにはどのような意味があるのですか
- TOA元々のカルチャーの部分で言うと、ギャングどうしの抗争を暴力ではなく、平和的に解決する手段としてダンスで競い合ったのが始まりと言われていますので、戦う気持ちみたいなのを僕は大事にしています。
みんながそうではないですが、ダンスバトルをする時、僕は感情の部分がすごく大事なので、自分のムーブの流れだったり、音楽の盛り上がりだったり、そういうのを感じた時に相手をあおるジェスチャーをしたり、相手の前まで行ったり、自然とそういうのが出てきます。
- Jun1指さすのは、相手がミスした時に今のミスだって指摘をしたりするんですけど、味方が踊っている時に「お、今のすごーい」と指差すのが多いですね。盛り上げや応援という意味があります。
- 今後ブレイキンを初めて見る方も増えていきますが、バスケットボールやサッカーなどと楽しみ方は違うと思います。例えば掛け声とかクラップ(手拍子)の仕方とかあるでしょうか
- AYUMIこうしましょうという決まったものはないですが、音楽が必ずありますので、それに合わせて盛り上がって、クラップしてもらえたら嬉しいなと思います。一人ひとりのダンスに全く違った特徴がありますので、そういうところにも注目すると楽しめると思います。
- Jun1海外では、すごいって思った時に、拍手や「オー」みたいな声が上がります
- 世界に羽ばたく皆さんが京都を拠点としているその想いは?
- AYUMI20年近く続いているチームなのですが、ファーストジェネレーションのメンバーみな京都出身でした。今このメンバーですと私とTOAの二人が京都で、他のメンバーは他県ですけど、「京都から世界へ行こう」と、京都を背負うという感じでやっています。
- マツシマホールディングスは、「未来の京都の街づくり」に貢献という想いで、昨年は京都ハンナリーズのオーナーになり、今年はクラシックカー事業をスタートしました。そしてアーバンスポーツにも大きな可能性を感じているところです。京都には、BMXの中村輪夢選手、ダブルダッチのNEWTRAD、BODY CARNIVALのみなさんと、日本を代表する選手がそろっていますが、環境面ではどうでしょうか?
- AYUMI練習場所が欲しいです。川﨑市でしたらアーバンスポーツの施設が複数ありますし、大阪だったらOCAT(大阪シティエアターミナル)とか駅がダンサーに対して開放してくれています。京都はアバンティの前を使わせていただけますが、駅はダメですね。ちいさな子供から大人までが集えるような施設を週に何時間とかでも開放していただけたら、京都のコミュニティーももっと大きくなるだろうなって感じています。
- Jun1平日昼間仕事している人とか多くて、夜7時から10時とかに練習できる場所があるといいですね。他の地域でもそうですけど、ブレイクダンスは外で練習をしてストリートから始めることが多いですけど、BODY CARNIVALも初期はストリートでやっていました。駅とか練習場所が圧倒的に少なくて。室内でなくても、ビルの前とか。ここで練習していても大丈夫ですみたいに開放していただければありがたいです。イベントも関東の方が多いですし、関西でしたら大阪になります。京都で開催されるブレイクダンスのイベントは、ほとんどがBODY CARNIVAL の主催ですね。
- TOABMXの輪夢くんとか他のアーバンスポーツとコラボできる機会があまりなくて、例えばフェスみたいのがあればと思ったりはします。結構若い子たちがアーバンスポーツに入ってきているので、京都全体で盛り上がると思います。
- ブレイクダンススクールも人気が高まってきていますが、お子様向けにおすすめポイントはありますか?
- AYUMIちいさな3歳の子から教えているのですが、一人ひとりの個性がすごく育ちます。ベースはみんな一緒ですけど、結局それを進化させて自分のスタイルを作っていくのは子供でも同じで、何かを作っていく楽しさを感じてくれ、創造性が養われます。みんなと一緒に何かをする協調性や、仲間を大切にする気持ち。ちいさい子から大人まで一緒になっている分野ですので、挨拶や、人と話すコミュニケーション能力という面ですごく育ちます。
- TOA協調性だったり、想像力がすごく豊かになったり、感受性が豊かになるとかもあります。スポーツのメンタルトレーナーのお話では、ブレイクダンスは自分で考える力がすごく強いそうです。僕らは団体ではあるのですが、一人ひとりが違うダンスの動きをしたり、違うスタイルで、それは自分で作ったり成長していくものです。自分で考えようとする思考力も魅力かなと思いました。