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これから活躍が期待される写真家を発掘する「KG+2020」レポート

KG+は、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的に、2013年よりスタートしたKYOTOGRAPHIEのサテライトイベントで、参加者を広く募集して展覧会を開催している。
今年は69の展覧会(うちオンライン2展示)が、京都市内のギャラリー、店舗、飲食店、ホテル、銀行などで開催され、参加アーティストの作品が展示されている。
KG+のもうひとつのプログラム「KG+SELECT」では、応募のあったアーティストのなかから、国際的に活躍するエキスパートによる審査によって選出された10組を、元・京都市立淳風小学校の各教室で紹介している。会期の最後には、グランプリを一組決定し、2021年のKYOTOGRAPHIEのオフィシャルプログラムとして展覧会が開催される。
元・淳風小学校で開催中のKG+SELECTの10展示を紹介します。

〉〉KG+2020オフィシャルサイト http://kyotographie.jp/kgplus/2020/

アーティスト名の前に記載のナンバーはKG+マップフライヤーに記載の会場番号
 

KG+ 元・淳風小学校

KG+SELECTの展示会場となった元・淳風小学校

KG+ 元・淳風小学校

元・淳風小学校の教室にKG+SELECTの10作品が展示されている

 
01 Huang Yu Hsiu|黄 郁修(台湾)
Hoarders

「ホーダー(Hoarder)」と呼ばれる物を過剰に溜め込む部屋で、社会から疎外されて暮らす住人。日本で「汚部屋」「ごみ屋敷」がこれに当たる。彼らの心理状態を、写真を通して紐解いていく。

KG+SELECT 黄 郁修 Hoarders

黄郁修「Hoarders」の展示風景

 

02 中川 剛志(日本)
Graveyard of Lights|光の墓

家族を亡くしたことをきっかけに、オーロラがあの世とこの世を繋ぐ光だと言い伝えられているアイスランドへ向かい、オーロラの撮影を通じて生死を考察するようになる。展示会場には、作者の年齢と同じ数のオーロラの写真が魂のように置かれている。

KG+SELECT 中川 剛志「光の墓」

中川剛志「光の墓」の展示風景

 
03 MOTOKI(日本)
Isana|勇魚

房総半島では昔から「勇魚(いさな)取り」と呼ばれる捕鯨が行われており、鯨は畏敬の念をもって扱われ、余すところなく利用された後、鯨塚に丁寧に供養される。近年縮小される捕鯨文化を、地域の営みや歴史・伝統を感じさせる写真で表現している。

KG+SELECT MOTOKI「勇魚」

MOTOKI「勇魚」の展示風景

 
04 髙橋 健太郎(日本)
A Red Hat

日常生活を題材にした絵が共産主義の啓蒙に繋がるとして1941年に治安維持法違反容疑で逮捕された「生活図画事件」の二人を撮影したもの。近現代日本と表現の自由の危機について問いかける。

KG+SELECT 髙橋 健太郎「 A Red Hat」

髙橋健太郎「A Red Hat」の展示風景

 
05 Chan Kai Chun|陳啟駿 (香港)
Gaze

2019年、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案に反対する大規模デモが香港で行われた。様々なマスクで顔を覆ってデモに参加するティーンエージャーたちを捉えたもの。

KG+SELECT 陳啟駿「Gaze」

陳啟駿「Gaze」の展示風景

 
06 Yingfei Liang|梁莹菲(中国)
Beneath the Scar

性暴力の被害を受け、SNSに事実を投稿した友人のインタビューを元に、性的暴行の被害者の心的外傷の記憶、彼女らの生活と仕事への影響を画面に提示する。

KG+SELECT 梁莹菲「Beneath the Scar」

梁莹菲「Beneath the Scar」の展示風景

 
07 小出 洋平(日本)
The Continuation of the Dream|夢のつづき

2011年の福島第一原子力発電所の事故後、被災地にもたらされた出来事を撮影し続けた事実の記録。黒い箱は、放射性物質を取り除くために削り取った土や草木などのいわゆる除染廃棄物が入っている黒い袋(フレコンバッグ)をイメージしている。

KG+SELECT 小出 洋平「夢のつづき」

小出洋平「夢のつづき」の展示風景

 
08 草本 利枝(日本)
Touchable Future

東日本大震災で被災した宮城県女川町に住む、一人の少年の成長を長期に渡って捉えたもの。展示会表の床には、仮設住宅の間取りが描かれている。

KG+SELECT 草本 利枝「Touchable Future」

草本利枝「Touchable Future」の展示風景

 
09 ウスイ チカ(日本)
The Beautiful Kakashi World

自ら製作した“かかしのチナちゃん”と共に国内外の様々な場所で、セルフポートレート作品を撮影。作家自身がかかしの世界に入り込んだ「村シリーズ」と、かかしのチナちゃんが人間の世界に入り込んだ「チナちゃんシリーズ」を展示。

KG+SELECT ウスイ チカ「The Beautiful Kakashi World」

ウスイチカ「The Beautiful Kakashi World」の展示風景

 
10  Chloé Jafé|クロエ・ジャフェ(フランス)
Osaka Ben|大阪弁

大阪市西成区北部にある「あいりん地区」の人々をモノクロで力強く撮影。部屋の中央に設置された小屋は、ホームレスの人びとの住まいを表現したもの。

KG+SELECT Chloé Jafé|クロエ・ジャフェ「大阪弁」

クロエ・ジャフェ「大阪弁」の展示風景

 
 
写真・文:市川善朗(マツシマホールディングス)
 
 

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