食の宝庫「錦市場」で京都の食を食べ歩く。
京都の目抜通り・四条通りの一本北に位置する錦小路通りは、約400メートルにも及ぶアーケード内の両側に約130もの商店が所狭しと立ち並びます。
年中賑わいを見せる通称「錦市場」は「京の台所」と呼ばれるように、古くから京都の食文化を支え続けてきました。延暦年間(782〜806年)に魚屋が開かれたのがその起こりと言われています。
市場としての活気をみせはじめるのは江戸時代に入ってから。魚問屋として幕府からのお墨付きを得ると、朝廷や社寺への献上品も納めるようになったそう。今でも、錦市場のある錦小路沿いには「東魚屋町」「中魚屋町」「西魚屋町」など当時の名残の町名があります。
錦市場が現在のような姿になったのは、明治時代に入ってから。魚以外に青果や乾物などの取り扱いを増やし、小売市場として賑わいをみせるようになりました。
京の台所を支えた名水「錦の水」。
錦に魚市場が発展した理由の一つに、錦市場の地下を流れる地下水があります。1年を通して15〜18度という水温を保つこの水は「錦の水」とよばれ、この地下水を利用した「降り井戸」が冷蔵庫がわりになっていました。錦市場の東側には、この錦の水が湧き出る錦天満宮があり、今なおこんこんと湧く水を誰でも自由に汲むことができます。
強い個性が守る錦ブランド、京都独特の食文化に触れる。
錦市場に並ぶ店舗の特徴は、古くからお商売を続けている店が多いということ。さらに、その店々で極端といっても良いほどの専門性と顔をもっています。魚屋と一言に言っても、マグロ一本で商売をしていたり、魚卵の店、焼き魚の店など様々。また、京料理にかかせない豆腐や湯葉を専門に扱う店や、京の出汁文化に重要な乾物屋など、京都の食を支えてきた店が今なお多く残るのも錦市場の魅力の一つです。
最近では、櫛にさした生麩や米穀店のおにぎり、青果店のフレッシュジュースなど、食べ歩きできるメニューも増え気軽に市場の味を楽しむことができます。
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