京都府の最南端、相楽郡の笠置町(かさぎちょう)は、木津川上流の山峡にあり、歴史と自然を素朴に漂わせている静かな里です。古くから弥勒信仰(みろくしんこう)の聖地として、山中で修行をする修験者(しゅげんじゃ)たちで賑わいました。
現在では、笠置山の桜や紅葉、木津川河川敷のオートキャンプ場、カヌーやボルダリングなどのアクティビティを目当てに、多くの観光客が訪れています。
笠置町は「石の国」とも呼ばれ、標高288mの笠置山を中心にいたるところに巨岩奇石が見られます。
笠置山の頂上にある『笠置寺』には、そんな巨岩をたどって山頂を一回りする「修行場めぐり」があり、京都でも有数のパワースポットめぐりとして人気となっています。
境内は巨石だらけの山道で、一周800m、30分から40分のコースになっています。修行場と聞くと厳しい山道をイメージするでしょうが、気軽に行場巡りに挑戦できるよう整えられているため、ハイキングレベルの歩きやすい靴と動きやすい服装であれば問題ありません。
「修行場めぐり」のコースには、大きな磨崖仏(まがいぶつ)が2つ、岩と岩の隙間をくぐる場所や、見晴らしのよいスポットがいくつもあり、巨石テーマパーク的に楽しめる場所となっています。
笠置寺のご本尊である弥勒磨崖仏(みろくまがいぶつ)は、巨石の壁面に掘られた弥勒菩薩立像(みろくぼさつりゅうぞう)で、飛鳥時代の664年に天人(中国大陸から来た人たち)によって彫刻されたといわれています。磨崖仏とは自然の岩壁に直接彫られた仏像のことですが、この笠置寺のご本尊は高さ15mの前傾した巨石の壁面に彫られていて、そのダイナミックさに驚きます。
幾度かの火災により表面は焼き崩れて、光背(こうはい)以外は、ほとんど形が見えない状態ですが、特殊カメラとデジタル画像処理によって彫刻線を復元された写真がすぐ前の正月堂に収められています。
笠置寺には、もうひとつ巨大な磨崖仏があります。12mの岩肌に刻まれた9mの仏さま。作成年代は、飛鳥時代もしくは平安時代と伝えられています。くっきりした線で大きく描かれ、今でもそのお姿を拝むことができます。
さらに狭い道を行くと笠置山修行場の入口「胎内くぐり」に出会います。修行に入る前に滝で身を清めるのが普通ですが、この山には滝がないため、替わりにこの岩をくぐり抜けることで身を清めたそうです。
その後も、叩くと音がする「太鼓石」、巨岩の下をくぐり、後醍醐天皇と鎌倉幕府の元弘の乱で武器としてここに置かれた「ゆるぎ石」などが続き、山頂付近にでます。
山頂からは、山の間を流れる木津川の雄大な景色が見渡せます。とくに巨大な岩「平等石」に登れば、さらに眺めがよくなります。ただし、足もすくむぐらい高く、足場が狭いため、高所恐怖症の方はお気をつけください。
「修行場めぐり」コースを先へ進むと、元弘の乱でホラ貝を吹いて合図を送ったとされる巨岩「貝吹岩」があります。貝吹岩からからは、平等石と逆の景色、木津川の下流と、笠置駅の近くにあるオートキャンプ場がよく見えます。
山に囲まれた笠置町では、10月中頃から3月頃まで雲海を見ることができます。雲海が見られるのは風の穏やかな早朝で、午前8時頃まで。谷間に広がる雲海の隙間から顔を出す山々は、まるで海に浮かぶ島のようです。
「平等岩」あたりからは、朝日を受けた雲海の幻想的な眺望が楽しめ、まさに絶景です。
笠置寺へ車で行くには、笠置寺山門近くまで山を登ったところにある「山上駐車場」が最も便利です。料金は500円。
笠置山にはハイキングコースがいくつもあり、笠置山登山口から東海自然歩道を通って約35分で笠置寺まで登ることができます。
0743-95-2848
〒619-1303 京都府相楽郡笠置町笠置笠置山29
拝観時間) 9:00〜16:00
入山拝観料) 300円(大人)、100円(中学生)
HP https://www.kasagidera.or.jp/
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