万葉集でも詠われた艶やかな「びわ湖真珠」。
琵琶湖で真珠が採れることをご存知でしょうか。実は琵琶湖では古くから天然の淡水パールが採れていて、万葉集にも「近江の白玉」と詠まれているのです。
ですが、滋賀に住む人でさえ琵琶湖で真珠が採れる事を知ってる人はあまりいないそう。そんな「びわ湖真珠」について、専門店「神保真珠商店」でお話をうかがいました。
びわ湖真珠とは、琵琶湖の固有種「池蝶貝」から採れる淡水真珠で、上品な照りと個性的な形状、ゴールドやピンクなど様々な色味が特徴です。
海洋産真珠で知られる、母貝の中に真円の核を入れて真珠層を巻かせたまん丸の「有核真珠」とは育て方が異なる「無核真珠」で一躍有名になりました。核を使わない真珠は、形がそれぞれに異なり個性的な姿をしています。実はこの無核の淡水真珠養殖技術は、昭和初期にここ琵琶湖の養殖場で確立されたものなのです。
丸く削り出した貝殻に真珠層を巻かせる有核真珠とは違い、無核真珠は天然真珠と同じで全てが真珠層でできているため、深い光沢がありとても魅惑的なツヤがあります。真珠層の巻きの厚さと照りは密接に関係しているといわれ、海洋真珠の花珠と呼ばれるものが、核の上に巻いた真珠層の厚さが0.4mm程ということを考えると、この無核真珠の神秘的な艶めきには納得がいきます。
最盛期にはおよそ100の真珠養殖業者で6トンもの浜揚げを誇っていたというびわ湖真珠。しかしながら、滋賀に暮らす人でさえこの美しい真珠の存在を知らない人が多いという理由の一つに、海外への輸出があります。
ここ琵琶湖で真珠養殖が盛んだった頃も、そのほとんどが海外へと輸出され、国内には流通していなかったそう。個性的な姿がペルシャ湾で採れる天然真珠に似ていたことから、ヨーロッパやアメリカを中心に高く評価され、日本で知られる間もなく海外のバイヤーの手に渡っていったのです。
その後、琵琶湖の水質変化や養殖技術の海外への流出を要因に、1980年代に入ると真珠養殖産業は一気に衰退してしまいました。長く続いた真珠養殖苦難の時代の中あっても、受け継いだ技術を一層進化させ、より高い品質を求めて真珠養殖と真摯に向き合ってきた生産者の手によって、「近江の白玉」は今もこの琵琶湖から生まれています。
077-523-1254
大津市中央3丁目4-28-201
営) 10時〜18時
休) 火曜・祝日
※施設の詳細はHPでご確認ください
京、でかけよう。vol.57 〜安土桃山から続く 歴史ロマンの地・伏見を歩く。<その2>〜
京、でかけよう。vol.59 〜生産者の想いとともにある 「びわ湖真珠」の専門店。神保真珠商店<その2>〜