醸造地の風格漂う 名水と銘酒の町・伏見へ。
日本有数の酒どころとして全国に知られる伏見。その歴史は古く、日本に稲作が伝わったやよい時代に始まったとされています。豊かな自然に恵まれ、京文化に磨かれた伏見の清酒は、太閤秀吉の伏見城築城とともに一躍脚光を浴び、酒どころとして広く知られるようになりました。
35号線を通り新高瀬川にかかる橋にさしかかると、レンガ造りの倉庫と煙突、木造の酒蔵という醸造地の風格漂う印象的な風景が目に飛び込んできます。この風景を皮切りに、大手町通を中心に酒蔵の町なみが広がります。
江戸、明治、大正、昭和初期の面影を残す酒蔵や居宅が残るこのエリアでは、虫籠窓や犬矢来など町屋の意匠にも注目してみてください。
月桂冠や黄桜など有名酒造メーカーが手がける記念館や、気軽に立ち寄れるカフェ併設の観光施設もあり、ぶらりと散策するのにとても楽しいエリアです。
淡麗な酒の源水が町なかに溢れ出す。
一升の酒に八升の水がいるといわれる酒づくり。良質で豊富な水に恵まれていることが酒どころの条件です。ここ伏見は、桃山丘陵からの水脈が地下に根付き湧き水となってあらわれ、「金名水」「銀名水」「白菊水」など多くの名水伝説が残っています。日本名水百選に選ばれた御香宮神社の「御香水」や月桂冠大倉記念館内の井戸、古い町なみの中にある「白菊水」など、今なおこんこんと湧き出る清らかな水にふれられる場所もたくさんあります。
酒の発酵の速さは、酵母の栄養塩となるミネラル分の含有量、つまり水の硬度できまるといわれています。、ここ伏見の水は、カルシウムやマグネシウムなど硬度成分をほどよく含んだ中硬水。ミネラル分が控えめでゆっくりと発酵が進むことから、酸が少なく繊細でなめらかな淡麗な風味を生み出すそう。酒どころとして知られる兵庫県・灘の比較的硬度の高い地下水を用いることから、はっきりとした辛口な酒が生まれるそう。酒造技術が発達した現在では、硬水・軟水のいずれを用いても、辛口や甘口など造りわけられるそうですが、「灘の男酒・伏見の女酒」という言葉には、そんな意味があったようです。
京、でかけよう。vol.55 〜大津の街並みを一望する 爽快ドライブウェイをはしる。ドライブウェイ〜
京、でかけよう。vol.57 〜安土桃山から続く 歴史ロマンの地・伏見を歩く。<その2>〜