1933年に「大礼記念京都美術館」として開館した京都市京セラ美術館。所蔵品は現在約3,800点を数え、特に近代日本画コレクションとしては国内有数の内容を誇り、洋画・工芸・版画についても名品が多く含まれます。
今回、開館1周年記念展のひとつとして開催中の「コレクションとの対話:6つの部屋」は、ジャンルや時代を超えたスペシャリストが異なるアプローチでコレクションと“対話”し、作品にまつわる秘められた歴史や物語を引き出す展覧会です。
撮影:福永一夫
京都市京セラ美術館のコレクションを、様々な分野の方が選択し、独自の「対話」を展開する企画。展示を構成する「6つの部屋」のうち、とりわけ興味深く観たのがアーティスト宮永愛子さんの部屋である。
宮永さんといえば「ナフタリン」という変容・昇華する素材をベースに、様々なバリエーションを試みながら、活発に作品を発表してきているアーティスト。また、ご存じの方もおられるかもしれないが、宮永さんは「東山窯」を開いた京焼の陶芸家、宮永東山の曾孫でもある。
初代宮永東山の陶芸との出会いは不思議なものだった。1900年、パリ万博の事務局として、陶芸家7代錦光山宗兵衛等と渡欧。帰国後、作陶界に入った。
時は「アールヌーヴォー」全盛期。パリで新しい息吹を浴びて、新鮮な思いで作陶された植物文様の往時の作品が、展示室には並ぶ。
さらにその後、制作された「陶彫」と呼ばれる石膏型による陶器の彫刻。宮永家から持ち出された「型」や「ちがい棚」に並ぶ、ナフタリンで制作された、立体作品や古典的風格さえ漂う「わんこ」。
過去と現在を宮永家の創作で結ぶ、時を超えた「対話」なのである。
■ 京都市京セラ美術館開館1周年記念展「コレクションとの対話:6つの部屋」 ■
会 期: 2021年10月9日(土)~12月5日(日)
会 場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階
(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
時 間:10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
公式URL:https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition
観覧料:
一般:1,000(800)円
大学・高校生:500(400)円
中学生以下:無料
*( )内は20名以上の団体料金
*京都市内に在住・通学の高校生・高等専門学校生は無料
*障害者手帳等をご提示の方は本人及び介護者1名無料(確認できるものをご持参ください)
075-771-4334
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
営) 10:00~18:00 入場は閉館の30分前まで
休) 月曜(祝日の場合は開館)、年末年始
https://kyotocity-kyocera.museum/
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1951年京都生まれ。1974年安部公房スタジオ入団。1975年株式会社ニューアート西武常務取締役、1997年株式会社ニューアートディフュージョン専務取締役を務め、会田誠、荒木経惟、大竹伸朗、河原温、奈良美智、蜷川実花、村上隆らのアーティストとともに、さまざまな展示企画を行う。2003年より、森ビル株式会社に転籍し、六本木ヒルズ開業のシンボルキャラクター「ロクロク星人」(村上隆)や、六本木ヒルズ、表参道ヒルズ等の直営ショップをプロデュースするほか、森ビル(株)の取締役として森美術館の経営・組織運営等のマネージメントを行う。2019年より現職にて京都市京セラ美術館リニューアルに携わっている。