06.eブースターとターボチャージャーを連動させる独自のハイブリッドシステムを搭載
「ギブリ ハイブリッド」は、マセラティの新世代パワーユニット第1弾に位置づけられる同社初のマイルドハイブリッド搭載モデルです。電動アシスト+直列4気筒エンジン+ターボユニットによって最高出力330psを発生し、5.7秒で時速100kmまで到達。最高速度は時速255kmと、レーシングスピリットのDNAを持つマセラティらしいハイスペックぶり。当然ながら、ハイブリッドモデルであってもトリノ工場で製造される徹頭徹尾イタリア製のマセラティです。
マセラティの48Vマイルドハイブリッドシステムは、BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)、バッテリー、eブースター、DC/DCコンバーターで構成されています。BSGにはオルタネーターの機能があり、ブレーキや減速した際のエネルギーを電力に変え、トランクに収められているバッテリーに充電を行います。この電力をエンジンに備え付けられたeブースター(電動コンプレッサー)に給電し、従来のターボチャージャーと連動させることで低回転時のパワーアップを図っています。
07.ハイブリッドになっても50:50の重量配分やエキゾーストサウンドは健在!
創業当初からレーシングスピリットを大切にしてきたマセラティは、前後の重量配分を50:50にすることが伝統となっていますが、それは「ギブリ ハイブリッド」でも確実に踏襲されています。ハイブリッド化によって、マセラティとしては初めて採用された4気筒エンジンに合わせて、48Vバッテリー+コントロールユニットに加え、12Vの補機バッテリーまでをトランク下に収めることで、軸重配分は50.7:49.3とほぼ50:50の重量配分となっています。実際に乗ってみると、確かに前後のバランス感が非常に良く、操舵感、回頭性、揺れ方、安定性のどれもがスポーティーでハイレベルな仕上がりとなっており、どこまでも走って行きたくなるような楽しさを味わうことができます。
ハイブリッド化されたパワートレインのフィーリングも素晴らしく、重量が2,030㎏と比較的重く、大柄なボディでありながら、どんな速度域であってもタイムラグを感じることなく、軽々と加速していく力強さが印象的。「ギブリ ハイブリッド」には、ノーマル、スポーツ、I.C.E.(エコ)という3つの走行モードがありますが、スポーツモードに切り替えると、その加速感や力強さは一気に増幅されるので、嵐山-高雄パークウェイのような登坂やカーブが連発する道でもスポーティーな走りを堪能できます。
しかも、マセラティの大きな魅力といえる荒々しいエキゾーストサウンドは、ハイブリッド化されていても健在。アイドリング時はバラバラと低い音色、加速時は太くてやや甲高い音色に変わるので、他のモデルと同じようにマセラティを駆る喜びを耳からも感じることができます。
今回はマセラティ初の電動化モデル「ギブリ ハイブリッド」を試乗しましたが、電動化されても高級感やパフォーマンスといったマセラティらしさは一切損なわれておらず、むしろエコ+クリーン化されてたことで、これまで以上に価値を高めたモデルといえます。そんな「ギブリ ハイブリッド」は、ディーゼルよりも速く、ガソリンよりも地球に優しいモデルとして、今後もマセラティの屋台骨を支えるプレミアムスポーツセダンとして人々を魅了し続けるでしょう。
ビデオリサーチ、ニールセン、Yahoo! Japanを経てフリーランスに転身。本職はマーケティングや広告だが、1990年代からモータージャーナリストとしても活動しており、とりわけ4WDやSUVには造詣が深い。
趣味はアウトドア(キャンプ、釣り)、バイク、アマチュア無線(JI1DLD)。犬と猫が好き。